週休3日制とは、1週間に3日の休暇を設ける制度のことを指します。週休3日制によって休日が増え、従業員のプライベートな時間が増え、ワークライフバランスが実現し、離職率も低下します。また、勤務時間の減少によって、従業員は限られた時間の中で効率よく業務を遂行するよう工夫するため、生産性の向上にもつながります。しかし裏を返せば、従業員が効率よく業務を遂行することができなかった場合は、ただただ負担が大きくなってしまいます。
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週休3日制とは
1週間に3日の休暇を設ける制度のこと
週休3日制とは、1週間に3日の休暇を設ける制度のことです。土日休みにするなど週休2日制を採用している企業が多いなか、さらに1日休日を増やすことになります。2023年時点では週休3日制は義務化されていないため、大手企業を中心とした一部民間企業のみが導入している状態です。週に3日間休日が設けられることでワークライフバランスを実現できる一方、給与が下がってしまったり、1日の労働時間が長くなってしまったりするリスクもあります。ひと口に週休3日制と言っても、3つの働き方パターンがあるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
週休3日制の3つの働き方パターン
週休3日制には、以下の3つの働き方パターンがあります。
- 給与維持型
1日休日を増やし週の労働時間を減らしつつも給与は維持するパターンです。給与を減らさないため、従業員が生産性を上げて週4日の労働時間で週5日分の成果を出すことが想定されます。 - 給与減額型
休日を1日増やし労働時間も減らし、給与も減額するパターンです。労働時間が減った分、手にできる給与が減ることになります。 - 総労働時間維持型
休日を1日増やしながらも1週間のトータルの労働時間を変えないパターンです。1日8時間を週5日間で40時間としていたところが1日10時間を週4日間で40時間となり、1日の労働時間が長くなります。
週休3日制が注目されている背景
2021年に内閣府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」に「選択的週休3日制」が盛り込まれたことから、週休3日制が注目されるようになりました。選択的週休3日制によって期待されていることは、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業や副業の促進を通じた人材多様化、リカレント教育の強化などです。
内閣府は好事例の収集・提供により企業における導入を促し、積極的に普及を図っていることから、週休3日制への注目が高まったと言えるでしょう。現に、厚生労働省「就労条件総合調査」によると、休みが「完全週休2日より多い」制度を取っている企業は令和2年度が8.3%、令和3年度が8.5%、令和4年度が8.6%と上昇傾向にあることがうかがえます。
週休3日制のメリット
ワークライフバランスが実現する
育児や介護と仕事の両立はもちろん、趣味を楽しみたい人もプライベートの時間を確保しやすくなります。増えた休日の時間を資格の勉強やリスキリング(学び直し)による知識の習得や、副業による収入増加の機会を増やすこともできるでしょう。
離職率が低下する
柔軟な働き方ができることで従業員の満足度が向上し、離職率の低下が期待できます。また、働きやすい職場としてアピールすることで、採用競争力の強化を図れるでしょう。その結果、より質の高い労働者を採用する機会を増やせるのです。
生産性の向上につながる
プライベートの時間を確保でき、休息も十分にとれることでストレスが軽減され、仕事へのモチベーションを維持できます。休日という目標が増えることで、限られた時間内で仕事を終わらせようとするため、生産性の向上につながるのです。生産性の向上を図るための業務効率化のきっかけにもなるでしょう。
週休3日制のデメリット
1日の業務負担が大きくなる
従業員が少ない職場の場合や、業務量を調整できない職種の場合、1日の業務負担が大きくなります。場合によっては人員を増やさなければならならないでしょう。特に総労働時間維持型の場合は1日の労働時間が10時間になるため、心身ともに疲弊するリスクが懸念されます。残業が発生すればさらに労働時間が長くなるため、かえってワークライフバランスの実現を妨げることにもなりかねません。
給与が低くなる可能性がある
給与減額型の場合、給与が低くなるため生活が困難になる人もいるでしょう。週休3日制を希望する従業員にのみ適用する場合は合意を得やすいものの、全従業員に適用するとなると反対する人が多数出てくることが想定されます。また、給与が低くなる分、将来の公的年金の支給額にも影響が出るのです。週休3日制を続けた期間が長ければ老後にもらえる年金が数万円も減額される可能性があります。
機会損失を招くリスクがある
取引先が週休2日制の場合、取引先とのコミュニケーション不足によりビジネス機会の損失を招くリスクがあります。オフィスの常駐体制が崩れることから、従業員間のコミュニケーション不足も課題となるでしょう。取引先とも連絡がとれず、対応が遅れてクレームにつながるかもしれません。また、出勤日数が減少することから、社内会議や取引先とのアポイント調整が難しくなる点もデメリットとなるでしょう。
まとめ
この記事では、週休3日制の概要やメリット・デメリットについて解説しました。週休3日制を導入する場合は、「給与維持型」「給与減額型」「総労働時間維持型」どのパターンを選択するべきか慎重に検討する必要があります。現時点の給与や労働時間を維持できる「給与維持型」が最も従業員から受け入れられやすいパターンと言えるでしょう。しかし、このパターンを選択する場合は休日が増えた分の生産性を補わなければなりません。週休3日制の導入をきっかけに業務プロセスの見直しをしてみてはいかがでしょうか。