完全歩合制の違法性と注意点とは?歩合制と固定給との違いから解説

2023年7月12日

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完全歩合制とは、従業員の報酬が売上や成果に応じて変動する制度です。中小企業においては成果主義の一環として導入されることもありますが、注意が必要です。労働基準法には最低賃金保障の観点から、適正な賃金水準の確保が求められるため、完全歩合制が違法になるケースも存在します。今回は、完全歩合制とほかの報酬制度との違い、違法になる可能性のあるケース、適正な導入方法について解説します。

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完全歩合制とはどんな制度?

完全歩合制とは

完全歩合制はフルコミッション制とも呼ばれる制度で、支払われる給与のすべてが歩合制によって考えられる形態です。例えば、営業などで契約件数1件につき1万円という条件の場合、50件契約すれば50万円の収入が得られます。仕事の成果に比例して収入がアップするため、働くモチベーションが向上するなどのメリットがあります。しかし、固定して支払われる給料が設定されていないため、もし仕事で成果が出なければ収入がゼロになってしまうリスクがある点には注意しなければなりません。

固定給との違い

固定給は定められた時間の勤務に対して、一定額の賃金が支払われる給与形態です。例えば、時給制・日給制・月給制など、時間単位で決められた報酬が支給されます。完全歩合制とは異なり、仕事の成果に関わらず働いた時間の対価として給与をもらえます。一定の収入が保証されているためリスクが低いですが、収入アップの機会は限定されます。定期的な昇給や昇進などが訪れない限り収入を増やすことは難しく、完全歩合制のように成果がすぐに給与に反映されません。

歩合制との違い

歩合制とは成果報酬型の給与形態で、仕事の成果や売り上げに応じてお金が支払われます。この歩合制には2つのパターンがあり、歩合制と固定給を組み合わせたものと、もう一つが完全歩合制です。歩合制の2つの給与形態は適用されるケースが異なるため、仕事選びの際にはそれぞれの特徴を良く把握しておかなくてはなりません。なお、歩合制の企業に雇われて働く場合には、歩合制と固定給を組み合わせた給与形態が一般的です。

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完全歩合制が違法になる可能性のあるケース

雇用契約の場合には完全歩合制は導入できない

完全歩合制は雇用契約を締結して働いている場合には導入できません。つまり、企業に属している正社員などの労働者には、完全歩合制は適用できないのです。根拠としては労働基準法における「出来高払制の保障給」という規定があげられます。具体的には、出来高払制やそのほかの請負制で働く労働者については、企業は労働時間に応じて一定の賃金の保障をしなければならないと定められているのです。もし、雇用契約を締結していて歩合制で働いている従業員の成果が悪かったとしても、給料を一切支払わないことは違法になるので注意しましょう。

アルバイトで働く方について

労働基準法における「出来高払制の保障給」が適用されるのは正社員の方だけではありません。企業と雇用契約を結んでいるアルバイトや契約社員の方に対しても、実際に働いた時間に応じた一定額の給与を保障する義務があります。アルバイトだからという理由で、完全歩合制を適用させる行為は違法です。

完全歩合制の適正な導入方法

業務委託契約であることを確認する

完全歩合制を導入するには、業務委託契約であることを確認しましょう。業務委託契約とは自社業務の一部を外部の企業や個人事業主に任せるための契約です。例えば、デザイナー・ライター・プログラマー・コンサルタント・営業など、さまざまな仕事において業務委託契約が結ばれています。業務委託契約をした労働者には基本的には労働基準法は適用されないため、完全歩合制の適用が可能です。

実態として雇用契約と判断されないように気をつける

業務委託契約を締結していて完全歩合制を導入したケースであっても、実態として雇用契約と判断されないように注意しましょう。雇用契約として判断されてしまう恐れのある、具体的なポイントは以下のとおりです。

  • 勤務時間を拘束している
  • 業務に関して命令している
  • 業務従事指示などへの諾否に不自由である
  • 就業規則や服務規律の適用がある
  • 報酬が労働時間によって定められている

雇用契約と判断されてしまった場合には、労働者には労働基準法による保護が適用されます。完全歩合制として働かせていたとしても賃金や残業代の支払請求を受けるケースがあるため、企業側にだけ都合の良い労働条件にならないように注意しましょう。

成果の定義を明確にする

完全歩合制の成果の定義を明確にしましょう。完全歩合制は成果報酬型と呼ばれる給与形態であり、労働者が仕事で出した成果の度合いによって給与額が決定されます。具体的な報酬の支払い方の例は以下のとおりです。

  • 売上金額に連動させる
  • 契約件数に連動させる
  • 一定の目標を達成した際に支給される
  • 売上商品などにポイントを設定して支給する

例えば、売上の3%とパーセンテージが定められているケースや、契約1件につき1万円などと具体的な金額が定められているケースなどがあります。完全歩合制において成果の定義が曖昧だと、報酬の支払いで思わぬトラブルに発展する恐れがあります。明確で分かりやすい報酬の考え方を提示できるようにしましょう。

まとめ

完全歩合制は業務の成果によって、労働者に支払われる金額のすべてが決まる給与形態です。職種によっては完全歩合制を適用しているケースも散見されますが、労働者と締結している契約の種別には注意が必要です。完全歩合制を導入するためには、労働者と基本的には業務委託契約を結ぶ必要があります。完全歩合制の考え方やルールを整理して、適切に導入できるように検討しましょう。

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