HR Techとは、HR(Human Resource)とTechnologyを組み合わせた造語で、IT技術を活用して人事業務を効率よく行う手段として注目されています。近年の働き方改革により、働き方が多様化するなか、時代に合わせた動きが人事業務にも必要になっています。AIやビッグデータなどを活用したHR Techを活用することで、人事業務の効率化、高度化を試みてみませんか。今回は、HR Techの概要やIT技術、導入のメリット、HR Techの導入事例について詳しく解説します。
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HR Techとは
HR Techは、Human Resource(人事)とテクノロジーをかけ合わせた造語です。ビッグデータやクラウド、IoTやAIなどのテクノロジーを活用して人事が抱える課題を解決する取り組みやシステムを指します。HR Techの活用例は、採用や人材育成、労務管理、福利厚生などの人事業務だけでなく、健康管理ツールやバイタルサイン測定、ワークログ収集など広範囲に及びます。
HR Techが広がる背景
HR Techが急速に普及した背景として、以下の3つの要因が挙げられます。
- IT技術の発展
- 人材採用競争の激化
- 働き方の変化
従来は自社で設計から開発、運用まで行うオンプレミス型が主流で、多くの企業にとってHR Techはハードルが高い傾向にありました。しかし、IT技術の進歩によって安価に利用できるクラウド型サービスが普及し、大企業だけでなく中小企業もHR Techを導入しやすくなったのです。
少子高齢化に伴う労働人口の減少によって、企業間での優秀な人材の獲得競争が激化しています。採用コア業務に集中する環境を構築するために、採用計画の策定や人材要件の設定、選考などにHR Techを活用する人事担当者も急増しています。
コロナ禍で急速にテレワークが浸透し、オフィス以外の場所で働く機会が増加しました。その結果、社内システムに外部からアクセスできるようにクラウドサービスが求められるようになったこともHR Techが普及した要因と言えるでしょう。
HR Techに活用される主な技術
HR techには様々なIT技術が活用されていますが、そのなかでも代表的な技術が以下の3つです。
- AI(人工知能)
- ビッグデータ
- クラウド
HR Techのなかでもビッグデータの解析に用いられる技術です。新たに人材の配属先を決定する際にAIがスキルや特性を考慮したうえで適した人材の候補をピックアップできます。AIは客観的なデータから判断するため属人化を防ぎ、適材適所の人材配置につなげられるのです。
AIが分析を行ううえで根拠となる必要不可欠な材料です。前述した、人材配置の際に必要となるスキルや特性もビッグデータを基に分析を行います。ビッグデータは大量かつ多様であるほどAIの予測精度を高められます。
インターネット環境さえあればどこでも利用できるクラウドシステムはHR Techの主流サービスとなっています。スマートフォンやタブレット端末などパソコン以外のデバイスからも手軽にアクセスできることからテレワークにも活用されています。
HR Techの導入メリット
採用のミスマッチを防げる
自社で働いている人材の特徴やスキル、経験などを分析して応募者と比較することで採用のミスマッチ防止が期待できます。ビッグデータを基に分析をすることでミスマッチを低減し、早期離職や内定辞退の防止に役立てられるでしょう。
業務効率化を実現できる
ITシステムの活用によって以下の定型的な事務作業を自動化・効率化できます。
離職率を低減できる
採用のミスマッチ防止や組織マネジメントの適性化によって、各従業員に適した役割や業務を与えられ、離職率を低減できます。自分に合う仕事を任せられることで、従業員は仕事にやりがいを感じられるためです。また、前述した給与計算や労務管理などの定型業務が自動化・効率化できることで人事部の負担も軽減し、人事担当者の離職率も抑えられます。
HR Techの導入事例に学ぼう
株式会社セプテーニ・ホールディングス
株式会社セプテーニ・ホールディングスは、インターネット広告事業を手がけるセプテーニグループの持株会社です。人材育成の「目的変数」を360度人事評価システムによって、全従業員が全従業員をレビューでき、1人あたり20名程度のレビューを得ることでスコアの信頼性を担保しています。また、その人物の個性とその人物を取り巻く環境を定量的なデータに変換します。そうすることで「どのような個性を持った人物がどのような環境でどのような成長を遂げたのか」といったデータをすぐに分析できる状態でデータベースに蓄積しているのです。このデータベースから得られた自社独自のアルゴリズムを各種人事施策に活用しています。
エイベックス株式会社
エイベックス株式会社は、音楽や映像、デジタル事業を展開するする大企業です。以前は人事部門において複数の管理ツールを使用していたことでミスが起こりやすく、業務にかかわるリードタイムも長期化する環境にありました。この課題を解決するために採用管理システムを導入したことで管理ツールが統一され業務フローがシンプルになり、採用業務に関わっていた従業員の工数を4割軽減することに成功しました。応募から内定までのリードタイムを短縮できただけでなく、新しい採用手法に取り組む時間も確保できるようになったのです。
株式会社日立製作所
日本の大手電機メーカーである株式会社日立製作所はHR Techを採用活動に導入しました。多様なアイデアを出し、面白いことをすぐに行動に移せる人材を採用できるように面接の内容を設計しました。その結果、従業員全体の5%だったその人材が2017年卒の新卒技術系採用では15%の確保に成功したのです。日立のHR Techの特徴は以下のとおりです。
- 人工知能「Hitachi AI Technology/H」を持ち、社内に多くのデータサイエンティストを在籍させることで、AIとデータ分析技術を駆使したピープルアナリティクスが可能
- 筑波大学の心理学の専門家による学術指導のもと、「生産性向上の意識を計測するサーベイ」と「配置配属のフィット感を計測するサーベイ」を開発
- 2つのサーベイにより計測した従業員個人の意識データに、人事データやPCログ、勤怠ログなどの様々な行動データを掛け合わせた分析が可能
まとめ
HR Techを活用することで、採用管理や給与計算、勤怠管理など人事におけるあらゆる定型業務を自動化・効率化できます。蓄積された膨大なデータをAIで分析することで、より精度の高い採用活動も実現します。採用活動においては採用のミスマッチを防ぎ、離職率を低減できる点も大きな強みです。業務効率化や生産性向上を図るためにも、HR Techを導入してみてはいかがでしょうか。