長時間労働の問題が世間を賑わす中、近年注目を集めているのが「勤務間インターバル制度」です。1日の勤務終了後に一定の休息時間を確保するという勤務間インターバルの取組は、労働者の心身の健康確保の観点から日本においてもその必要性が認識され始め、自主的に取り入れる企業も出てきています。
今回は、勤務間インターバル制度の内容や実施にあたっての留意点について解説します。
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勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までの間(インターバル)に一定の休息時間を確保する制度のことをいいます。現在の日本においては法令上の規定はなく、制度化されているものではありません。
勤務間インターバルがすでに制度化されているEU加盟国では、「EU労働時間指令」において、24時間について最低連続11時間の休息付与が義務づけられています。この場合、例えば9時始業・18時終業の会社で18時から24時まで時間外労働をしたとすると、翌日は24時の11時間後の11時から勤務開始となります。本来の始業時刻である9時から11時までは勤務免除となり、その間は労働者を就業させてはいけません。
勤務間インターバル制度の必要性
日本の労働時間規制では、労働基準法により労働時間の上限が決まっているものの、労使間で36協定を締結することで労働時間の限度を解除できることから、現実的に規制として機能しているとは言い難いというのが実態です。
厚生労働省の告示において、自動車運転者については勤務終了後に継続8時間以上の休息期間を与えなければならないことが定められているものの、休息時間の確保について一般的に定めた規制はありません。
しかし近年では、労働者の心身の健康確保の観点から勤務間インターバル制度の必要性が認識され始め、自主的に取組を始める企業も出てきています。さらに、働き方改革が政府の重要課題となる中、働き方等についての政府の検討の場においても勤務間インターバルが取り上げられる機会が増えてきています。
2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」では、「長時間労働是正や勤務間インターバルの自発的導入を促進するため、専門的な知識やノウハウを活用した助言・指導、こうした制度を積極的に導入しようとする企業に対する新たな支援策を展開する」と明記されました。
政府の働き方改革実現会議でも、一部の委員から「全ての労働者を対象とした労働時間の量的上限規制と勤務間インターバル規制の導入を実現すべき」と発言があるなど、勤務間インターバル制度の導入について今後議論が展開されていく可能性が予想されます。
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勤務間インターバル導入企業への支援
このような国内外の動きを踏まえて、厚生労働省は、勤務間インターバル制度を導入する企業に対して積極的に支援を行う方針を打ち出しています。2017年度予算の概算要求では、勤務間インターバル制度を導入した中小企業に対して助成金を支給するため、新たに予算を計上しました。
具体的には、「職場意識改善助成金」を拡充し、勤務間インターバル制度を導入する中小企業に対して就業規則等の変更費用、研修費用、労務管理用機器等の導入費用など、50万円を上限に、助成の対象となる費用の4分の3の助成を実施する見込みです。
このような支援によって、各企業において勤務間インターバルを自主的に導入することが目指されています。
勤務間インターバルを導入する上での留意点
実際に勤務間インターバル制度を導入するにあたっては、どのような点に留意すればよいのでしょうか。4つのポイントを解説します。
最低限確保すべき休息時間
勤務間インターバル制度を導入する際には、労使間の協議により、最低限確保すべき休息時間を取り決める必要があります。すでに制度が導入されているEU加盟国の「11時間」や、自動車運転者に適用される「8時間」が一つの目安となるでしょう。
休息時間の長さが障害となり労使間で協議が進まない場合でも、睡眠時間確保の観点から、「6時間」は確保することが望ましいといえます。
確保した休息時間が通常の勤務時間に及ぶ場合
休息時間が通常の勤務時間に及ぶ場合、その時間は勤務が免除となりますが、その間の賃金の扱いについては労使間で取り決める必要があります。
賃金を有給とすることがネックとなって労使間の交渉が進まない場合には、まずは賃金の扱いを規定しないで導入するという方法も考えられます。
通勤時間の扱い
勤務間インターバル制度で定める「休息時間」の定義としては、通勤時間を含める場合と含めない場合があります。どちらの定義を採用するかは、労使間での話し合いのうえで決定します。
労働時間の適正な把握
勤務間インターバル制度を実施していくためには、始業時刻と終業時刻を適正に把握することが必要です。勤務時間の管理方法には様々なものがありますが、例えばアラート機能のある勤怠管理システムを導入することで、勤務時間の記録漏れを防ぎつつ、正確に時刻を記録できるようになります。
厚生労働省の「職場意識改善助成金」では、労務管理用機器の導入費用も助成の対象となる見込みです。この機会に、勤怠管理システムの導入を検討してみてもよいでしょう。
まとめ
勤務間インターバル制度は、従業員の健康と安全を守り過重労働を防ぐための有効な取組の一つであり、各企業においては積極的に取り組んでいくことが期待されます。
勤務間インターバル制度を実際に導入する場合は、始業時刻や終業時刻の適正な把握が必要不可欠です。勤怠管理システムなどのツールを有効に活用しながら、実効性の高い取組を行うようにしましょう。
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