【徹底解説!】労働基準法

2016年11月11日

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企業や労働者にとって基本的な法律である「労働基準法」。現在、政府の働き方改革実現会議において、その見直しが行われていることが注目を集めています。

労働基準法はどのような法律で、これまでどのように改正されてきたのでしょうか。また、今後はどうなっていくのでしょうか。

今回は、労働基準法のこれまでの改正の歴史や今後の見通しについて解説します。

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労働基準法とは

労働基準法は、労働条件に関する最低基準を定めた法律です。日本国憲法第27条第2項の「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」という規定に基づいて、1947年に制定されました。

労働基準法では、賃金支払いの原則や労働時間の原則、時間外・休日労働、割増賃金、解雇予告、有期労働契約、年次有給休暇や就業規則等について規定されています。

ここで定められた基準は最低基準であるため、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定めた労働契約は無効となり、その部分については労働基準法の規定が適用されます。

労働基準法の改正の歴史

労働基準法は、1947年の成立以来、雇用情勢の変化等を踏まえ、数次の改正を経て現行の規定となっています。

以下では、労働基準法のこれまで改正内容のうち、主要なものを取り上げます。

1947年
(S22)
労働基準法(昭和22年法律第49号)成立
1987年
(S62
労働基準法の一部を改正する法律(昭和62年法律第99号)成立
  • 週40時間労働制、変形労働時間制、裁量労働制(専門業務型)、フレックスタイム制等の導入
  • 年次有給休暇制度の拡充
  • 賃金・退職手当に関する規定の整備
1993年
(H5)
労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律(平成5年法律第79号)成立
  • 週40時間労働制の原則化
  • 1年単位の変形労働時間制の導入
  • 時間外・休日労働に関する割増賃金率の改正
  • 裁量労働制の適用対象業務の拡大
  • 年次有給休暇の付与要件の緩和
  • 林業への労働時間規定の適用
  • 罰金額の引き上げ
1998年
(H10)
労働基準法の一部を改正する法律(平成10年法律第112号)成立
  • 労働契約期間の上限規制の緩和
  • 労働契約締結時に明示すべき事項に労働時間に関する事項等を追加
  • 退職時の証明事項に退職の事由を追加
  • 1ヶ月単位の変形労働時間制の見直し(要件変更)
  • 長時間にわたる時間外労働の抑制
  • 新たな裁量労働制(企画業務型)の導入
  • 年次有給休暇制度の付与日数の引き上げ
2003年
(S62)
労働基準法の一部を改正する法律成立(平成15年法律第104号)
  • 有期労働契約について、契約期間の上限が原則3年に延長されるとともに、高度の専門的な知識を有する者と有期労働契約を締結する場合の契約期間の上限が5年とされた
  • 有期労働契約の締結時や期間満了時のトラブルを防止するため、使用者が講ずるべき措置について厚生労働大臣が基準を定めることができることとされた
  • 解雇をめぐるトラブル防止のため、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効」とする解雇権濫用法理を法律上に明記した
  • 就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載する必要がある旨を法律上に明記した
  • 労働契約の締結に際して、使用者は「解雇の事由」を書面の交付により労働者に明示しなければならないことを明確化した
  • 専門業務型裁量労働制について、制度導入にあたり労使協定において健康・福祉確保措置および苦情処理措置を定めることが新たに必要になった
  • 企画業務型裁量労働制について、対象事業場の範囲が拡大した
2008年
(H20)
労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)成立
  • 1ヶ月60時間を超える時間外労働について、法定割増賃金率が25%から50%に引き上げられた(中小企業については当面の間、適用が猶予)
  • 割増賃金の支払いに代えた有給休暇の仕組みが導入された
  • 労使に対して割増賃金引き上げなどの努力義務が課された
  • 年次有給休暇を時間単位で取得できるようになった

労働基準法の今後の見通し

2015年に、労働基準法の改正案が国会に提出されました。この改正案は、長時間労働を抑制するとともに、労働者がその健康を確保しつつ創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備するため、労働時間制度の見直し等を行うことを目的としたものであり、以下の内容が含まれていました。

2015年
(H27)
労働基準法等の一部を改正する法律案
  • 月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する
  • 著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定を新設する
  • 一定日数の年次有給休暇を確実に取得させるための規定を新設する
  • フレックスタイム制の「清算期間」の上限を3ヶ月に延長する
  • 企画業務型裁量労働制の対象業務を拡大するとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続きの簡素化等の見直しを行う
  • 職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1000万円以上)を有する労働者について労働時間や割増賃金等の規定を適用除外とする「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」を創設する

働き方改革関連法による変更点

上述の改正案を取りまとめた働き方改革関連法が2019年4月より順次施行されています。この改正では、労働者が個々の事情に合わせて多様な働き方を選択できるよう、長時間労働の是正や柔軟な働き方の実現、雇用形態によらない公正な待遇確保といった要項が加えられました。労働基準法において改正された具体例には以下のような項目が含まれ、その大半が2020年7月時点で既に施行されています。

2018年
(H30)
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律成立
  • 時間外労働の上限に対して、原則として「月45時間、年360時間」の法的規制が課される
  • 年10日以上の年次有給休暇を付与する労働者に対して、年5日については使用者が時季を指定して取得させなければならない
  • フレックスタイム制の清算期間の上限を最大3ヶ月間とする
  • 高度の専門的知識等を有し、一定の要件を満たす労働者に対して労働時間や割増賃金等の規定を除外する「高度プロフェッショナル制度」を創設する
  • 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率を50%へと引上げる(2023年4月から)

この改正案は国会で審議されないまま継続審議扱いとなり、現在では撤回されています。また、政府の働き方改革実現会議では、長時間労働是正のため、現行の労働基準法の規定を見直し労働時間の上限を設けることなどについて議論を行っています。 労働基準法改正案の今後の国会提出状況や、提出された場合の国会での審議状況に注視が必要です。

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