過重労働とは、長時間労働や休日出勤などが原因で従業員の心身に大きな負担のかかる労働の事を指します。過重労働が認められるための具体的な条件としては、時間外・休日労働が「月100時間を超えること」もしくは「2~6ヶ月平均で月80時間を超えること」が挙げられます。過重労働によって、従業員の身体的健康だけでなくメンタルなどの精神的健康にも悪影響を与え、生産性の低下につながるだけでなく、従業員が不満を感じ離職してしまうリスクも増加させます。
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過重労働とは
過重労働とは従業員の心身に大きな負荷のかかる労働のことです。より具体的な基準としては、「時間外・休日労働が、月100時間を超えること」もしくは、「2~6ヶ月平均で月80時間を超えること」が挙げられます。もし、長時間の時間外労働や休日出勤などが慢性的に行われていて、体やメンタルに大きな負荷のある状態が続いていたら過重労働が発生しているかもしれません。
法律で認められる労働時間の上限について
法律で定められている労働時間のルールについて確認していきましょう。まず、法定労働時間として1日に8時間・1週間に40時間までの労働が上限として設定されています。次に、労使間で36協定を締結すると残業の実施が可能になりますが、時間外労働の上限は月45時間・年360時間と定められています。臨時的な特別の事情がある場合には年720時間以内の時間外労働が認められていますが、以下の条件を守らなくてはなりません。
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
- 2~6ヶ月平均で時間外労働は月80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えられるのは年6ヶ月が限度
過重労働は法律で定められた時間外労働の上限に抵触する恐れがあり、従業員の健康を守るためにも早急に働き方を改善しなければならないのです。
過重労働がもたらすリスク
過重労働にはさまざまな健康障害が発生するリスクが潜んでいます。まず、時間外・休日労働が月45時間を超えて長くなるほど、脳・心臓疾患が発症する恐れが強まります。次に、疲労の蓄積により集中力を欠く状態になると、仕事中に怪我が発生してしまう危険性も軽視できません。さらに、長時間労働によって睡眠時間を確保できないことは、メンタル不調につながります。こうした健康障害を予防するためにも、過重労働をなくす取り組みを行う必要があるのです。
過重労働が発生する原因
人材が不足している
人材不足に起因して長時間労働が発生している企業が少なくありません。厚生労働省「令和2年版過労死等防止対策白書」を見てみると、残業が生じる理由としては「業務量が多いため」が57%、「人員が不足しているため」が40.4%、「仕事の繁閑の差が大きいため」が30.7%という結果が出ています。実に半数近い企業が人材不足という問題に頭を悩ませているのです。企業は利益を追求するために、必要最低限の人材しか雇っていないケースも目立ちます。人材が不足していれば従業員一人当たりの業務量と負担は増加していますが、処理できる業務量には限界があるため過重労働が発生してしまうのです。
デジタル化が遅れている
デジタル化が遅れていることも過重労働の発生につながっています。業務がデジタル化に対応できていないと、非効率な働き方が職場の当たり前になっているかもしれません。例えば、資料や議事録を印刷して共有していたり、打ち合わせのための外出が多かったりしないでしょうか。どれも社内で起こりがちなワンシーンですが、メール・チャット・Web会議システムといったITツールを活用すると従業員の稼動を減らしてより効率的に働くことが可能です。特に、人事労務や健康管理に関連する業務は、紙やエクセルで行っているケースが散見されるためデジタル化が求められています。
残業を良しとする企業文化が残っている
残業を良しとする企業文化が残っている場合もあります。日本には滅私奉公の働き方を美徳として、効率よりも残業して長時間働く従業員を評価する文化がありました。結果よりもプロセスを重視する、年功序列の評価を行ってきた企業も少なくありません。最近では働き方改革の浸透もあり改善されてきていますが、長時間働くことを良しと考える方も多く残っています。ワークライフバランスを重視して集中して業務を時間内に終わらせるよりも、職場の文化から抜け出せずに残業を行っている従業員がいるのです。
過重労働を防止するためにできること
労働時間を正しく把握する
従業員の労働時間を正しく把握しましょう。働き方改革によって労働安全衛生法が改正され、2019年4月より「労働時間の客観的な把握」が義務化されました。従業員の勤務時間の確認と記録については、以下が原則的な方法として挙げられています。
- 使用者が自ら現認することで確認して記録する
- タイムカード・ICカード・パソコン入力などの客観的な記録を使用する
労働時間を客観的に把握することで、従業員の過度の残業を早期に発見できます。労働時間を適切に管理して、職場の長時間労働を削減しましょう。
有給休暇取得を促進する
有給休暇取得を促進することで、従業員の心身のリフレッシュや仕事へのモチベーション向上を図りましょう。そもそも、有給休暇とは法律で定められた労働者に与えられた権利です。要件を満たせば正社員・パートなどの区分に関係なく、すべての従業員に対して有給休暇は付与されます。なお、労働基準法が改正され2019年4月からは、法定の有給休暇日数が10日以上の方に対し、毎年5日間の有給休暇取得が義務化されました。有給休暇の取得目標日数を定めたり、仕事はチームで行ったり、気軽に休みを取得しやすい職場環境を構築しましょう。
コミュニケーションを活性化する
職場のコミュニケーションを活性化させて、過重労働を防止しましょう。もし、職場のコミュニケーションが不足していると、一部の従業員に業務が偏っていてもすぐに気がつけません。周囲のサポートが得られなかった場合、業務量の多い従業員は残業が発生してしまう恐れがあります。特に、お互いの顔が見えないリモートワークでは、コミュニケーション不足を感じている方が少なくありません。こうしたコミュニケーションの問題を解決するには、チャット・社内SNS・グループウェアなどの活用がおすすめです。日頃から社内でコミュニケーションを取るように心がけ、誰もが働きやすい職場に改善しましょう。
まとめ
過重労働は企業と従業員にとって深刻な問題です。過重労働をそのままにしていたら企業イメージが低下するだけでなく、大切な従業員を失ってしまうかもしれません。従業員の健康障害の発生という最悪の事態を防ぐためにも、過重労働を放置せずに改善に向けた取り組みが重要です。従業員の労働時間を正しく把握したり、職場のコミュニケーションを活性化させたり、過重労働をなくすためにできる工夫を始めてみましょう。