ポテンシャル採用とは、応募者のスキルや経験だけでなく、人柄や資質といった潜在的な能力を重視して行う採用のことを指します。ポテンシャル採用では、スキルや経歴といった応募に必要な要件が少なく設定されるため、より多くの人に窓口を広げた採用活動が可能になります。これにより、自社に合った人材に出会う可能性が広がるだけでなく、新たなアイディアが生まれやすくなります。また、若手の人手不足を解消するためにも、候補者の人数を増やすことが可能なポテンシャル採用は効果的です。しかし、即戦力となるキャリア採用と比較すると、ポテンシャル採用は育成コストがかかってしまいます。
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ポテンシャル採用とは
ポテンシャル採用とは求職者の潜在能力を評価基準とする採用手法です。具体的には求職者の人柄・資質・協調性・学習能力・課題解決力などの能力が重視されます。そのため、ポテンシャル採用では即戦力を求めるケースは少ないため、求職者の業務に対する経験や保有しているスキルなどはあまり問われません。求職者の今後の活躍を期待して採用するため、入社後にそれぞれの潜在能力を生かすための育成を行う点もポテンシャル採用ならではの特徴です。
新卒採用や中途採用との違い
まず、新卒採用は企業への就労経験がなく、大学などの学校を卒業予定の学生を対象に行われます。一方、ポテンシャル採用は募集対象が新卒の学生だけではありません。就労経験がある方など、より広い範囲の求職者が採用対象になっている点が異なります。
次に、中途採用は基本的に即戦力になるスキルや経験を持っている人材を確保するために行う採用手法です。一方、ポテンシャル採用では将来性のある潜在能力を評価する点が異なります。
ポテンシャル採用が注目されている背景
ポテンシャル採用が注目されている背景としては、少子高齢化の影響などによる生産年齢人口
の減少が挙げられます。日本の15〜64歳の生産年齢人口は1995年をピークに減少しており、2050年には2021年から29.2%減少する5,275万人になると試算されました。この生産年齢人口の減少によって労働力の不足や経済規模の縮小などが懸念されており、企業としても限られた人材を確保するために採用方法を見直す必要が出てきたのです。従来のスキルや経験を重視する採用手法だけでなく、中長期的な視点で育成できる人材を求めるポテンシャル採用が注目されるようになりました。
ポテンシャル採用を導入するメリット・デメリット
メリット1:優秀な若手人材の採用が期待できる
ポテンシャル採用を導入すれば、優秀な若手人材の採用が期待できます。ポテンシャル採用は不定期や通年で実施している企業が多く、ほかの求人と比較しても求職者の間口を広く設定しているケースが一般的です。そうした特徴もあり、さまざまな経歴を持った優秀な若い人材に出会えます。例えば、第二新卒・海外大卒者・海外留学経験者など、多様なキャリアを持つ人材の獲得チャンスを広げることが可能です。
メリット2:基本的なビジネススキルが備わっている
ポテンシャル採用の対象者は一般的なビジネススキルを持っている可能性が高いです。ポテンシャル採用では社会人経験がある方など広い範囲の求職者を採用対象としています。そのため、基本的なビジネスマナーだけでなく、コミュニケーション能力・時間管理能力・論理的思考力などが備わっている方が多くいらっしゃいます。企業としては優れた人材に出会える可能性を広げられるだけでなく、教育コストの削減によって採用活動の負担軽減も期待できます。
メリット3:組織のイノベーションにつながる
組織のイノベーションにつながることもポテンシャル採用のメリットです。ポテンシャル採用で入社する人材の多様な価値観や考え方が企業に加わることで、これまでにない画期的なアイディアが生まれる可能性が高まります。例えば、異業種の経験を持つ方であれば、業界の常識とは異なる発想の問題解決方法を提案してくれるかもしれません。ほかにも、海外経験がある方なら現地市場にマッチする新商品のアイディアが生まれる可能性もあります。アイディアに異なる経験や発想を持つ人材が組織に加わることで、新たなイノベーションが生まれやすくなるのです。
デメリット:育成に時間やコストがかかる
ポテンシャル採用のデメリットとしては、育成に時間やコストがかかる点が挙げられます。採用した人材の潜在能力を引き出して戦力として活躍してもらうためには、時間をかけて育成しなければなりません。具体的には業務に関連する教育や研修を実施する必要があり、成果が出るまでには一定の時間がかかるだけでなくコストも発生します。すぐに結果を求めるのではなく、中長期的な視点で考えて人材を採用する姿勢が大切です。
ポテンシャル採用を成功させるためのポイント
自社が求める人物像を明確化する
自社が求める人物像を明確にしましょう。ポテンシャル採用といっても、求める人材の方向性や企業が達成したい目的は異なります。例えば、人材に求める可能性や資質、現時点で求める能力などの項目が明確になっていないと、採用基準にばらつきが出るリスクが生じかねません。安定して質の高い採用を進めていくためにも、求職者の評価ポイントをはっきりさせるようにしましょう。
求める人材要件を積極的に発信する
企業が求める人材の要件を、積極的に発信しましょう。ポテンシャル採用という取り組みを始めたとしても、求職者の方に認知されなくては優れた人材を確保できません。企業の公式Webサイトだけでなく、SNSなども活用して自社が求める人材にアピールしましょう。なお、発信する内容には自社が求める人物像を伝えるだけでなく、キャリアアップ内容などの具体的な内容も記載すると反応を得られやすいです。
入社後のサポート体制を充実させる
ポテンシャル採用で入社した方への、入社後のサポート体制も充実させましょう。採用した人材にいち早く戦力として活躍してもらうためには、育成環境やサポートが重要です。具体的には専用の研修プログラムの用意やメンター制度の導入などが効果があります。こうしたサポートでは専門的なスキルの習得を促すことも大事ですが、社内ルールや業務プロセスについても丁寧に教えるように心がけましょう。
まとめ
働き手の減少という背景もあり、既存の採用方法を変えようとする企業が少なくありません。多様な人材を獲得して企業を成長させていくためには、経験やスキルを優遇する従来の採用方法だけでは対応が難しくなってきています。変化する世の中で優れた人材を確保するためにも、ポテンシャル採用という手法を検討されてみてはいかがでしょうか。