仕組み化とは、業務の属人化を防止し、いつでも、どこでも、誰が行っても同じ成果を出せる方法を構築することです。仕組み化を進める手順としてまず、業務内容の可視化を行う必要があります。専門知識のない人でも、業務の流れを明確に理解できるようにしましょう。続いて、可視化した業務を誰が担当しても一定の成果が出る方法を確立し、業務を標準化します。その後、標準化した業務を誰でも行えるようにマニュアル化しましょう。
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業務の属人化を防ぎ誰でも行える体制を構築すること
「仕組み化」とは、業務の属人化を防ぎ、いつでも・どこでも・誰でも行える体制を構築することです。英語では「体系化する・組織化する」などを意味する「systematize」と訳すことが多く、仕組み化は「業務のシステム化」とも言い換えられます。具体的には、誰がいつどこで行っても同じ成果を得られるよう、作業手順を標準化したり作業マニュアルを作成したりする取り組みです。仕組み化していない組織では、業務の担当者によって成果に差が生じるケースも少なくありません。結果として特定の人材に業務が集中してしまう恐れもあるため、業務量や作業品質を均一化するためにも、業務の仕組み化は重要です。
仕組み化すべき業務
業務量や作業品質の均一化にも重要な仕組み化ですが、すべての業務が仕組み化できるわけではありません。仕組み化すべき業務には、下記のようなものが挙げられます。
- ルーティン業務
定型的な繰り返し作業はもっとも仕組み化に適した業務です。仕組み化することで、時間の節約や作業品質の向上が期待できます。
- カスタマーサポート業務
顧客対応業務も仕組み化に適した業務です。自動応答システムやチャットボットを活用し自動化することで、作業効率の向上が期待できます。
- データ管理分析業務
データの管理や分析も仕組み化できる業務です。データベースの構築やデータ処理のプロセスを自動化すれば、データドリブンな意思決定に役立ちます。
- プロジェクトやタスクの管理
進捗管理やタスク管理も仕組み化が有効な業務です。管理ツールを導入することで、業務の可視化や作業効率の向上を実現できます。
- 社内コミュニケーション
社内コミュニケーションもまた、仕組み化が効果的な業務です。チャットツールや社内SNSを導入すれば、情報共有やタスク調整を円滑に行えます。
仕組み化しないことで生じる問題
組織が大きくなればなるほど、積極的に業務の仕組み化に取り組まなければなりません。仕組み化しないことで生じる問題には、下記のようなものが挙げられます。
- 業務の属人化
仕組み化していない組織では、業務の属人化が起こりがちです。ノウハウを持った担当者に業務が集中するため負荷が高くなり、欠勤や退職によって特定の業務が滞ってしまう恐れもあります。
- 作業品質の低下
特定の人材が業務を担っている場合、担当者の一存で業務を遂行するため、作業手順がブラックボックス化してしまうことも珍しくありません。実は作業効率が悪かったというケースもあり、結果として作業品質の低下を招く恐れもあります。
- 不正やトラブルの発生
作業手順がブラックボックス化した状態では業務プロセスを把握できないため、不正やトラブルが発生する恐れもあります。仕組み化していない組織では、改ざんや偽りが発生しても、すぐに発見できません。
仕組み化のメリット
作業品質が向上する
業務を仕組み化すると作業ミスが減少し、作業品質が向上します。そもそも、業務において誤りや漏れといったミスが発生するのは、作業手順が明確ではないため起こる場合がほとんどです。このようなミスを防止するには、業務プロセスや作業手順を明確化し、誰が対応してもミスが起こりにくい体制を構築する必要があります。作業ミスが頻発している場合、まずは作業手順の妥当性をチェックすることが仕組み化の第一歩です。手作業ではヒューマンエラーが避けられないため、ツールを導入して自動化するという方法もあります。
業務の属人化を防げる
業務の属人化を防ぐという意味でも、仕組み化は重要な取り組みです。個人のノウハウやスキルに依存した業務設計では、特定の人材に業務が集中し、負荷が高くなります。また、急な欠勤や退職により、特定の業務が滞ってしまうケースも珍しくありません。作業手順がブラックボックス化することから、作業品質の低下や不正の温床になる恐れもあります。いつでも・どこでも・誰でもできるよう仕組み化すれば、業務の属人化を防げるだけでなく、負荷分散やリスクヘッジ、品質向上の面でも非常に効果的です。
企業価値が向上する
仕組み化によって業務の属人化を防止すると、業務負荷が分散されるため、従業員のエンゲージメントが向上します。従業員エンゲージメントは愛社精神と言い換えることも可能で、愛社精神を持った従業員は仕事にやりがいを感じ、モチベーションも高い状態です。従業員のモチベーションが高いと、仕事の効率や品質が向上します。仕事の質が高いと製品やサービスの品質が向上するため、企業に対する愛着を意味する顧客エンゲージメントも高くなるのが一般的です。仕組み化は従業員や顧客のエンゲージメントを高めるだけでなく、最終的には企業価値も向上します。
仕組み化を進める手順
業務フローを可視化する
まずは業務を細分化して分析し、現状の業務フローがどのような流れになっているのかを可視化しましょう。部署・部門を跨ぐ業務の場合は、業務プロセスにかかわるすべての関係者を集め、業務フローの洗い出しおよび可視化を行う必要があります。単独の部署・部門で完結する場合は、単に業務フローを洗い出すだけでなく、作業手順を明文化し、無駄なプロセスはないか、業務改善の余地はないかなどを合わせて確認しましょう。業務フローを図式化し、対応順序などを視覚的に整理するのも効果的です。
作業手順を標準化する
現状の業務フローを可視化できたら、作業手順を標準化しましょう。標準化とは、業務を合理的に進められるよう、物事を質的・量的に均一化する取り組みを指します。作業手順の標準化は、誰がいつどこで作業を実施しても同じ成果を得られるよう、手順を見直し整えることです。そもそも、担当者によって作業手順が異なると、業務の属人化を招く原因となります。そのため、作業手順の標準化では、使用するツールやシステム、操作方法や操作手順、情報の参照先などを細かく定めておくことが重要です。複数関係者に対するヒアリングや社内の成功事例などをもとに、ベストプラクティスを確立します。
マニュアルを作成する
作業手順を標準化しベストプラクティスを確立できたら、作業手順をマニュアル化しましょう。作業手順を口頭で共有するだけでは誤解や齟齬が生じる恐れもあるため、必ずマニュアルという形で明文化する必要があります。なお、マニュアルは一度作ったら終わりではなく、運用するなかで課題が生じたら適宜フィードバックし、改善し続けることが重要です。ちなみに、情報共有を円滑に進めるには、紙媒体ではなくワードやエクセルといった電子媒体で作成することをおすすめします。より一層の効率化や品質向上を目指す場合は、マニュアル作成ツールやナレッジ管理ツールを導入するのも一つの方法です。
まとめ
今回は仕組み化について解説しました。仕組み化とは、業務の属人化を防ぎ、いつでも・どこでも・誰でも行える体制を構築することです。具体的には、誰がいつどこで行っても同じ成果が得られるよう、作業手順を標準化したりマニュアルを作成したりする取り組みを指します。業務の仕組み化は、作業品質が向上し、業務の属人化を防ぎ、企業価値が向上するなど、メリットの多い取り組みです。組織の規模によっては仕組み化しないと問題が生じる恐れもあるため、既存のプロセスを見直し業務の仕組み化に取り組んでみましょう。