有給消化中に雇用保険喪失手続きは可能?企業側の対応を解説

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従業員が退職する際、最後に有給休暇を消化してから退職する人がいます。その時、退職する従業員が有給消化中でも次の企業で働きたいという場合には注意が必要です。法律上、雇用保険に加入できるのは一社のみです。そのため上記のような場合では、企業は退職する従業員の雇用保険の喪失手続きを行わなければなりません。今回は、雇用保険の喪失手続きの手順と注意点、退職前の有給消化中の従業員の扱いについて解説します。

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雇用保険喪失手続きの手順

必要な届け出を確認する

  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 雇用保険被保険者資格喪失届とは、雇用保険の被保険者が企業を退職したことを届け出る書類です。企業は正社員・契約社員・アルバイト・パートなどに関わらず、条件を満たせば雇用保険に加入させなければなりません。そして、雇用保険に加入している従業員が退職する際には、企業による雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必須となります。

  • 離職証明書
  • 離職証明書とは退職者が離職したことを証明する書類です。企業が、離職日や直近の賃金支払い状況・離職理由などを記入して作成します。しかし、離職する従業員が離職票の交付を希望しない場合は提出する必要はありません。ただし、離職する従業員が離職票を希望しない場合でも、59歳以上の退職者に対しては離職証明書を提出する必要があります。

添付書類を揃える

雇用保険被保険者資格喪失届や離職証明書の準備ができたら、記載内容の根拠となる添付書類を揃えましょう。代表的な添付書類の例としては以下のとおりです。

  • 出勤簿
  • 退職辞令発令書類
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 離職理由が確認できる書類

離職理由が確認できる書類の例としては、退職届など従業員が離職した事実を明確にできるものが必要です。不備がないように必要な添付書類をしっかりと準備しましょう。

ハローワークに提出する

雇用保険被保険者資格喪失届など必要な書類の準備が整ったら、ハローワークに提出しましょう。提出方法はハローワークへの窓口に直接提出するほか、郵送・電子申請が可能です。ただし、現在は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、郵送やオンラインによる電子申請が推奨されているケースがあるため注意しましょう。

有給消化中の雇用保険喪失手続きに関する注意点

提出期限を厳守する

従業員が離職した際には雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要ですが、提出期限を守ることが非常に重要です。被保険者が退職した日の翌日から、10日以内に書類を提出しなければなりません。期限を過ぎてしまうと失業保険の支給が遅れたり、支給が受けられなくなったりする場合がありますので、必ず期限内に手続きを完了させましょう。

電子申請が求められる場合がある

2020年4月から特定の法人について、雇用保険被保険者資格喪失届を含む一部の手続きの電子申請が義務化されました。特定の法人に関する具体的な条件は、以下のとおりです。

  • 資本金・出資金・銀行など保有株式取得機構に納付する拠出金の額が、1億円を超える法人
  • 相互会社
  • 投資法人
  • 特定目的会社

政府全体では行政手続コストを削減するために、電子申請の利用促進が行われています。その取り組みのひとつとして、特定の法人が手続きする場合には、必ず電子申請で行うことが義務付けられました。該当する企業においては、電子申請が必須となりますので注意しましょう。

印刷時には要件を満たす必要がある

雇用保険被保険者資格喪失届は、ハローワークのWebサイトよりダウンロードできます。ダウンロードした書類を印刷する際に気をつけたいポイントは以下のとおりです。

  • 第1面と第2面の両面が印刷できていること
  • A4の白色用紙に100%の等倍で印刷できていること
  • OCR読取り時の基準マークである3点の■が印刷できていること
  • 印刷の際に文字のかすれや二重に印刷がされていないこと

書類を印刷したフォーマットにもし不備があると、差し戻しなどが発生する恐れがあります。スムーズに手続きを進めるためにも、問題なく印刷されているかを必ず確認しましょう。

退職前の有給消化中の従業員の扱い

二重就労に注意する

退職前の有給消化中の従業員の扱いに関することで、まず注意が必要なのは二重就労です。二重就業とは本業の企業とは別に、複数の企業と雇用契約を締結して就業することを指します。昨今では副業を認める企業も増えてきていますが、就業規則に二重就労禁止規定が盛り込まれているケースも少なくありません。退職する従業員から有給消化中に次の企業で働きたいという申し出があった場合は、就業規則に違反していないかを確認する必要があります。二重就労禁止規定に抵触してしまうと、退職金の減額や懲戒解雇といった罰則が適用される場合もあるので注意が必要です。

雇用保険の二重加入に注意する

雇用保険の二重加入にも注意する必要があります。雇用保険は一箇所の企業などでのみ加入ができ、二重加入はできません。二箇所の企業で雇用保険の加入要件を満たしている場合は、主たる賃金を受ける企業で加入します。ハローワークのシステムにおいても、複数の企業で同時に雇用保険には加入はできないようになっています。退職する従業員から有給消化中に次の企業で働きたいという申し出があった場合は、先に雇用保険の喪失手続きを行わなければなりません。従業員の状況を的確に把握して、雇用保険の手続きを進めるようにしましょう。</p

有給休暇の買い取りを求められた場合

退職前に有給休暇を消化中の従業員が、有給休暇の買い取りを求める場合があります。有給休暇の買い取りは、企業によって扱いが異なるため、まずは就業規則などを確認しましょう。一般的には、有給休暇は買い取ることができないとされています。しかし、企業の規定によっては、一定の条件下で買い取りが認められる場合があります。ただし買い取りによって、該当の従業員の退職手当が減少する可能性もあるため注意が必要です。

まとめ

従業員の転職や離職が発生すると、企業としては雇用保険喪失手続きといった対応をスムーズに行わなければなりません。とくに、従業員の退職が間際だと該当の従業員の有給消化中に、複数の手続きを並行して行わなければならないケースが散見されます。雇用保険喪失手続き自体は複雑ではありませんが、提出期限やさまざまな注意点がありますので慎重に対応しましょう。

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年次有給休暇の基本ルールと取得義務化の注意点について解説!

年次有給休暇の基本ルールと取得義務化の注意点について解説します

目次

  • 1.年次有給休暇5日の取得義務化とは?
  • 2.年次有給休暇についておさらい
  • 3.年次有給休暇5日取得義務化の注意点
  • 4.企業が作成・保管する「年次有給休暇管理簿」とは?
  • 5.企業が行うべき対応
  • 6.AKASHIで従業員の休暇をひとめで管理
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