ダイナミック・ケイパビリティとは、環境や状況の激しい変化に対応するために企業が自己変革していく能力のことを指します。ダイナミック・ケイパビリティは3つの能力で構成されています。一つ目は捕捉能力で、企業内の資源を機会に応じて再利用・再構成する能力のことです。二つ目は変革能力で、企業が優位性を保つために企業内の資源を変容させる能力のことです。三つ目は感知能力で、顧客のニーズや社会情勢など自社が置かれている状況を俊敏に察知する能力のことです。
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ダイナミック・ケイパビリティとは
ダイナミック・ケイパビリティとは企業変革力とも呼ばれており、環境に適応して組織を柔軟に変化させる能力を指す言葉です。自社が保有する人材・お金・物・情報といった経営資源を適切に組み合わせながら、将来が不透明な現代において競争優位を確保していくための手法を指します。急速なデジタル技術の発展や経済のグローバル化、社会の不確実性といった影響を受けるビジネスに対応するために、多くの企業でダイナミック・ケイパビリティが求められているのです。
オーディナリー・ケイパビリティとの違い
オーディナリー・ケイパビリティとは与えられた経営資源を効率的に利用することで、利益を最大化しようとする能力のことです。オーディナリー・ケイパビリティはあくまでも自社の経営資源の効率化に重点が置かれており、外部環境の変化への適応という観点が盛り込まれていない点においてダイナミック・ケイパビリティと違いがあります。オーディナリー・ケイパビリティは在庫回転率や労働生産性のように測定でき、ベンチマークすることが可能です。
ダイナミック・ケイパビリティが注目される理由
ダイナミック・ケイパビリティが注目される理由としては、次々と変化する不確実な社会に適応しなければならないことが挙げられます。昨今を振り返ってみても新型コロナウイルスの蔓延や終わりの見えない戦争など、さまざまな出来事が起こりました。生活や仕事にも大きな影響があり、テレワークといった働き方にシフトされた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ほかにも、環境問題の深刻化や脱プラスチックの推進など、企業の課題は多くあります。このような変化の激しい社会において企業が成長を続けるためには、ダイナミック・ケイパビリティを高めていく必要があるのです。
ダイナミック・ケイパビリティの3つの能力
捕捉能力
捕捉能力とは企業が持っている経営資源を置かれている状況に応じて、再配分・再利用する力のことを指します。社内だけでなく外部の状況を的確に捉えて、臨機応変に柔軟な対応を取れる能力が重要です。もし、企業内部の経営資源が不足している場合には、取引先なども含めて組織を再構築していく必要性も生じます。
変革能力
変革能力とは企業の競争優位性を高めるために、経営資源を再構築させる力を意味します。経営環境は変化するので、企業も適応していくためには変革を行わなければなりません。具体的には状況に応じて組織を見直したり、社内の方針やルールを変更したりする能力が求められます。変革も一度行って満足してしまうのではなく、継続的かつ迅速に行えることが重要なポイントです。
感知能力
感知能力とは企業を取り巻く経営環境の変化を、素早く感じ取る力を指します。例えば、社会情勢・顧客ニーズ・同業他社の動向など、企業はさまざまな変化に対応しなければなりません。感知能力を高めるためには情報収集に取り組むだけでなく、企業の各部署で連携できる体制の構築が大切です。加えて、集めた情報は細かく分析することで、企業として向き合うべき課題を明確にできます。
ダイナミック・ケイパビリティを高めるポイント
多様な人材を確保する
多様な人材を確保できるように工夫してみましょう。特に、DXを強みに持つ人材は企業が成長するために必要不可欠です。そもそも、DXとはデジタル・トランスフォーメーションを略した言葉で、データやデジタル技術を活用して業務プロセスを変革する取り組みを指します。DXはダイナミック・ケイパビリティの実現を推進するために重要なポイントであり、今後さらに重要性が高まっていくことが予想される要素です。社外からの人材採用に力を入れるだけでなく、自社の従業員のスキル向上も同時に実践してみましょう。
意識変革を行う
従業員の意識変革を行うこともダイナミック・ケイパビリティを高めるポイントです。意識改革とは従来の常識に左右されずに、新しい考え方や判断基準を柔軟に取り入れて、事業や組織を改善していく取り組みをいいます。先行きが不透明な時代に企業が生き残るためには、従業員一人ひとりの意識変革が欠かせません。従業員にダイナミック・ケイパビリティを実現させるための意識変革の必要性を説明し、経営層や管理職が模範となって体現できるように工夫してみましょう。
常にアンテナを張る
経営環境の変化をいち早く感知するために、常にアンテナを張って社外にも目を向けてみましょう。情報収集を行う代表的な方法としては以下が挙げられます。
- 交流会
- 顧客調査
- オープンイノベーション
- SNSの活用
- 新聞
- 書籍
もちろん、ただ闇雲に情報を収集するだけではなく、常に目的意識を持つことが重要です。ニーズの変化や競合企業の動向を素早く把握して、企業としての対応力を向上させましょう。
まとめ
予測が困難な現代で企業が成長を続けていくために、ダイナミック・ケイパビリティが注目されています。激しく変化するビジネスの状況に取り残されずについていくためには、ダイナミック・ケイパビリティを高めて企業としての対応力を向上させなければなりません。現状の課題を分析して、新しい取り組みをスタートさせてみてはいかがでしょうか。