就労証明書は保育園の入園申請などで必要となる書類です。男性の育児休業や雇用形態に左右されない保育園の活用が広がるなか、人事担当者も就労証明書を作成する機会が増加しています。今回は就労証明書の作成方法、提出が必要なケース、労働時間などの注意点、転職時の取り扱いについて解説していきます。
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就労証明書とは、従業員が企業で働いている事実を証明する書類です。ほかに「在籍証明書」「雇用証明書」「勤務証明書」「就業証明書」など、企業によってさまざまな呼称があります。呼称に違いがあっても記載内容や役割には大差はないため、混乱しないようにしましょう。なお、正社員・パート・アルバイトなど雇用形態に関わらず、従業員から就労証明書の作成依頼があった場合に企業は対応する必要があります。
就労証明書に記載されている内容
就労証明書に記載されているのは以下のような内容です。
- 在職者の氏名
- 在職者の性別
- 在職者の生年月日
- 在職者の住所
- 在職者を採用した年月日
- 雇用した形態
- 雇用した期間
- 仕事内容
- 役職
- 就労形態
- 勤務日数と就労時間帯
- 勤務地
- 給与
- 会社の捺印
なお、自治体から個人に対し、就労証明書の作成・提出が求められる場合、基本的に提出用の用紙が送付されています。企業は従業員からこの用紙を渡され、必要事項の記載を依頼されることが多いでしょう。就労証明書は上記の必要事項が記載されていれば問題ないとされますが、自治体によってフォーマットが異なります。確実な書類作成のためには、自治体から送付された用紙を使うか、自治体ホームページからフォーマットをダウンロードしましょう。
就労証明書が必要な主なケース
- 保育園への入園申請
- 転職時
- 外国人労働者によるビザ申請
企業が従業員から就業証明書の作成を求められる場合で、一番多いパターンは認可保育園の入園申請を行う際でしょう。入園だけでなく、年度ごとの更新や転職による勤務先の変更の際にも提出しなければなりません。提出時期は前年度の10月~12月頃が一般的で、持参・郵送、電子申請などが可能です。
転職活動の際に転職希望先から現職の就労証明書の提出を求められる場合も少なくありません。履歴書に記載している職務内容・経験・役職との照合、学歴・経験の考慮材料として提出が求められます。また、公務員や高度な専門知識を有する職種に転職する場合、勤続年数の証明や所有資格を確認するためにも活用されます。
就労関係の在留資格を持っている外国人が更新を行う際にも、就労証明書が必要とされるケースがあります。所属部署や職務内容など証明すべき項目が定められているため、事前に管轄の地方入国管理局などへ確認しておくとスムーズです。
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就労証明書の作成における注意点
労働時間や賃金支払い額の記載について
通常就労する曜日を選択し、休憩時間を含めた1日の勤務時間を記入します。また、1ヶ月当たりの勤務日数や就労時間についても記入する必要があります。なお、人事部との認識違いで少なく記載されると、保育園の利用可能時間に影響する可能性もあるため正しい勤務日数と勤務時間を記載することが大切です。労働時間や賃金支払い額については以下のポイントに気を付けましょう。
- 労働時間の記載
- 残業代は賃金支払額含める?
- 給与以外の支払いは賃金支払い額に含める?
- 就労時間や就労日数が不規則の場合
就労証明書に記載するのは雇用契約上の労働時間です。常態的に残業をしているとしても、残業時間は含めません。基本的には労働時間と往復の通勤時間を足した時間で保育園の利用時間の目安になります。
基本的には含めます。ただし算出が難しい場合は、含めなくても構わないとされています。残業代が先月勤務分のものである場合も、実際の支払い実績に応じて記載します。また、税金や社会保険料などの控除前の金額を記載しましょう。
給与のうちの現物支給分、通勤定期代、賞与については、賃金支払い額に含めません。その他の手当については、労働に対する対価としての性格があれば含めます。
最も多いパターンの就労時間および就労日数を記入します。
休職中の場合の記載方法について
- 復職日未定の場合
- 復職後の働き方が未決定の場合
- 休職中にも賃金を支払っている場合
保育所等への入所申込みには、育児休業開始日と終了日の記載が必要です。休業期間について労働者と協議のうえで基本的には記入する必要があります。
現時点で想定される日数のみ記載し、曜日欄など未確定事項については空欄で構いません。空欄箇所がある場合は理由を付記します。
この場合も、休職前の三カ月について記載します。
証明者について
- 証明欄に記載するべき役職
- 出向者の場合
会社代表者が一般的ですが、支社長であっても構いません。企業によっては、各店舗の店長などが作成する場合もあるようです。
出向元の会社で作成し、証明者も出向元企業にする必要があります。同様に、派遣社員の場合も派遣元での証明になります。
自営業の場合
自営業や業務委託契約の場合、自身で就労証明書を作成しなくてはなりません。添付書類として、開業届のコピーや、確定申告書控え、源泉徴収票、青色決算書・白色収支内訳書の控え、帳簿の写しなど申告書類のコピーを用意しておきましょう。就労状況申告書の提出が必要な場合があるので、どんな仕事をどれくらいの時間をかけてやったのか証明できる書類として、報酬支払通知書や請負契約書、請求書などを保管しておくと良いでしょう。
まとめ
就労証明書は、保育園をはじめとした行政サービスを受けるために作成が必要とされるため、内容の正確性を担保しなければなりません。しかし、自治体によってフォーマットが違うこともあり、書き方に迷うケースも少なくありません。また、従業員側にも申請手続きの期限があるため、速やかな対応が必要となります。就労証明書の作成は片手間でできる作業ではないと認識しておきましょう。特に、大規模な企業においては、保育園の入園申請などで就労証明書の作成依頼が増える10月頃は、業務リストのひとつに入れておくなど対策が必要です。