組織サーベイ(Organizational Survey)とは、組織内の現状を定量的・定性的に把握し、改善点や課題を明確にするために実施される調査のことです。組織サーベイには、半年から1年に一度行われるセンサスと呼ばれる調査と、1週間から1カ月に一度といった短期間で繰り返し実施するパルスサーベイと呼ばれる調査の2種類があります。組織サーベイを行うことで、課題の早期発見が可能になり、課題解決の精度が向上します。今回は、組織サーベイの意味、効果や調査方法について解説します。
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組織サーベイとは
組織サーベイとは企業が組織の現状把握や施策の効果測定などのために、従業員に対して実施する調査のことです。一般的には全従業員へのアンケート調査の形式で組織サーベイは実施され、あるべき姿と現状とのギャップを測定するための質問項目が並びます。組織サーベイで得られた結果を活用すれば、企業課題の解決や組織開発へとつなげることが可能です。
組織サーベイの目的
組織サーベイの目的は調査結果から課題や問題点を洗い出して、組織を改善することです。具体的には以下の内容を調査する組織サーベイが実施されています。
- エンゲージメント
- メンタルヘルス
- 従業員満足度
- 若年層離職防止
従業員の意見を組織サーベイで集められれば、職場で目立つストレスや不満、課題を発見できます。例えば、仕事の負担の大きさやコミュニケーション不足などの課題が明確になれば、問題解決のための具体的な措置を講じることが可能です。
組織サーベイが求められる背景
組織サーベイが求められる背景としては、人材の流動化や働き方改革の推進が挙げられます。昨今は多くの企業が優秀な人材の確保に苦戦しており、人材の定着も大きな課題として挙げられるようになりました。また、テレワークやフレックスタイム制など多様な働き方が広がっており、コミュニケーション不足に悩む企業も増えています。そうした際に組織サーベイを実施できれば、モチベーションやエンゲージメントなど従業員の内面も調査が可能です。先回りした問題解決や適切な組織戦略の実施につなげられるため、組織サーベイがさまざまな企業で求められています。
組織サーベイを導入する効果
組織の現状を可視化できる
組織サーベイを導入すると、組織の現状の可視化に有効です。例えば、仕事への不満・モチベーション・上司との関係・職場環境など、従業員の仕事への考えや気持ちを明確にできます。また、企業が抱える問題点や改善点を具体的に把握できるだけでなく、組織の強みや優位性も客観的に評価できる点も組織サーベイの特徴です。
課題解決の精度を向上できる
組織サーベイの結果を活用すれば、課題解決の精度向上にも効果的です。調査で得られた定量的・定性的なデータに基づいて意思決定を行えるため、感情的な判断や憶測によるミスを削減できます。また、多数の問題点に優先順位を付けて取り組めるので、解決に向けて限られたリソースの有効活用が可能です。
従業員の離職防止につながる
組織サーベイの結果と向き合えば、従業員の離職防止にもつながります。定期的に組織サーベイを実施すれば、職場の変化にも早期に気づけるはずです。もし、従業員の不満や不安の声をキャッチしたとしても、問題が深刻化する前に適切な対策を実施できます。組織サーベイを継続できれば集まった意見が改善に生かされる企業として成長できるので、従業員のエンゲージメントが向上して離職率低下にもつながるでしょう。
組織サーベイの実施方法
組織の課題を洗い出す
まずは、組織の課題を洗い出しましょう。企業で解決が求められる課題の具体例は以下の通りです。
- 従業員のモチベーションが低い
- 従業員の定着率が悪い
- 人材育成ができていない
- ハラスメントが起きている
こうした課題がはっきりすると、組織サーベイの目的も明確になります。収集すべき情報の種類や、課題解決に向けた情報の活用方法を定義しましょう。
調査項目を決める
次に、調査項目を決定しましょう。調査項目の内容や設計は、組織サーベイの精度を大きく左右します。細やかな原因追及が必要だと考えられる項目には、質問数を多めに設定しましょう。一方、既に上手く機能している項目は、質問数は少なめに設定しても問題ありません。なお、すべての調査項目を考えると負担も大きくなるので、パッケージ化された既存のモデルを活用すると効率的に作業を進められます。
サーベイ方法を検討する
続いて、組織サーベイの実施方法を決めましょう。センサスとパルスサーベイの2つが代表的な手法です。まず、センサスとは半年から1年に一度の頻度で実施される手法で、アンケートの設問は多い特徴があります。多様な角度からの深い分析に優れますが、結果の集計や従業員への負担増加は考慮しなければなりません。次に、パルスサーベイは1週間から1カ月に一度の短期間に繰り返し実施される手法で、センサスよりも少ない設問で実施します。組織の問題をスピーディーに把握できますが、詳しい内容の調査には面談などの追加工程が必要です。
組織サーベイを実施して分析する
それでは、組織サーベイを実施して分析しましょう。組織のどこに問題があるかを、分析によって可視化します。得られた分析結果は定量的なデータだけを重視するのでなく、従業員のコメントにも着目する姿勢が大切です。広い視点から問題点を把握して、改善策の立案へとつなげましょう。
改善策を立案して実行する
組織サーベイで発見された問題点や改善点への対策案を検討し、実行可能なプランを立案しましょう。改善策は具体的な目標だけでなく、担当者や実施期限も明確に決める工夫が重要です。改善策の実行では進捗状況を定期的に確認して、必要に応じてプラン内容を調整します。従業員に対するフィードバックも忘れずに実施しましょう。
まとめ
組織サーベイを実施すれば組織の現状や、実施した施策の効果などを正確に把握できます。組織サーベイで得られた従業員の声を尊重して、課題に対する施策を積み重ねていけば企業は改善を続けていくことが可能です。企業の継続的な成長を実現するために、組織サーベイの活用を検討してみてはいかがでしょうか。