近年の働き方改革では、労働時間に関する法的規制なども行われ、勤怠管理の重要性はますます高まってきています。勤怠管理とは従業員の労働時間を適正に把握して管理することですが、残業時間の削減による健康維持や生産性向上といった意味合いも含まれます。今回は、勤怠管理の定義と必要性、勤怠管理の方法や勤怠管理システムの種類などについて解説していきます。
労務管理に便利なクラウド型勤怠管理システムAKASHIの資料はこちら>>勤怠管理とは?
企業が従業員の労働時間を適正に管理すること
労働基準法では、法定労働時間は「1日8時間、週に40時間」と定められています。また2019年に行われた改正により、時間外労働の上限は原則「月45時間・年360時間」までとなりました。このような上限規定が適正に守られているか、また正しい賃金の支払いが行われているかを企業が管理する仕組みが「勤怠管理」です。従業員数が多いほど従業員一人ひとりの勤怠状況を適切に把握することは難しく、勤怠管理のためのシステムを導入するのが一般的となっています。
適切な人材配置や生産性向上を実現できる
勤怠管理システムを導入すると、人材配置調整やスケジューリングが容易になります。曜日や時間ごとに必要な人数を設定しておくことで人員配置を自動化でき、勤務希望申請をあらかじめ勤怠管理システムで行えるので管理も容易です。管理者が各従業員の就業時間などを適切に確認できるため、労働時間が長い従業員に適切に配慮することもできます。
透明性の確保やコスト削減にも繋がる
勤怠管理によって給与計算が明確になることは、コンプライアンスの遵守にも繋がります。みなし残業として残業代を出さない、または低く見積もって計算してしまうといった不正を回避して正確な勤怠状況を確保できるためです。実際のトラブルを防止するだけでなく、勤怠管理を行うことで健全な経営管理を行っているというアピールにもなります。
また、勤怠管理システムの導入はコストを削減できるというメリットもあります。システムを導入していない場合は、従業員の給与を管理する際に都度計算し適切にチェックするオペレーションが必要です。勤怠状況を一括で管理できる勤怠管理システムがあれば、このような作業にかかっていた人件費や時間を削減することができます。
関連記事:
勤怠管理が必要な理由
過重労働抑止
前述のとおり2019年に時間外労働の上限が設定されたことで、上限を上回っていることが発覚すれば罰則が発生するようになりました。時間外労働の上限に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあります。
厚生労働省が2017年に策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、「労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないこと」と記されています。労働時間は従業員の給与計算において基礎となる情報です。勤怠管理を行い従業員の労働を正確に把握すれば、長時間労働を早期に回避でき健康問題や生産性の改善を図るきっかけにもなるでしょう。
働き方改革
「働き方改革」は、現在の日本の労働人口不足を背景に、生産力向上と働き方の多様化を選択できる社会づくりをめざす試みです。働き方改革を推進するにあたり「長時間労働の是正」は重要なトピックとして挙げられており、労働時間を適切に把握することがこれまで以上に重要視されるでしょう。また、フレックスタイムや短時間勤務などの多様な働き方を企業が受け入れるためには、勤怠管理をこれまで以上に正確に把握することが急務です。
勤怠管理の方法
タイムカード
従業員が出勤・退勤するタイミングでタイムレコーダーに打刻シートを挿入して打刻する方法です。低コストで導入でき、タイムレコーダーにカードを挿入するだけなので誰でも簡単に使用できることがメリットです。ただし、社外やテレワークで勤務する場合はリアルタイムで打刻することができない、打刻機能のみのタイムレコーダーは集計作業が別途必要など不便な面もあります。
Excel
Excelのソフトを使って管理する方法です。大掛かりなシステムを導入する必要もなく、セルに簡単な数式を設定しておくだけで始められるので管理も容易です。一方で入力操作はそれぞれの従業員任せになるため、入力ミスや不正申告を完全に避けることはできません。客観的な情報にはならないので注意が必要です。
クラウドサービス
従業員の勤怠データをクラウド上で管理するシステムです。クラウド上で管理することにより、場所や働き方にとらわれることなく、スマートフォンやICカード、PCなどさまざまなデバイスで打刻できることが強みです。また、情報を手入力することがないのでミスや不正を防止することもできます。勤怠データの集計作業が減りコストや手間を大幅にカットできるでしょう。
よく使われている勤怠管理システムの種類
タイムレコーダー型
紙で打刻するタイムレコーダーの現代版という位置づけです。出退勤の情報のみを記録することができ、ICカードや指紋認証、静脈認証などを用いて打刻を行います。記録されたものはデータとして抽出することができます。勤怠管理システムのなかでは最もシンプルなシステムです。
オンプレミス型
企業が所有するサーバーに独自のシステムを構築するタイプです。カスタマイズが容易でセキュリティを強固にできるというメリットがあるものの、初期費用は高く導入にも時間がかかります。専門性のあるシステムを構築したいという場合や、高度なシステム開発・管理ができる人材を保有している企業などに適しています。
クラウド型
ネットワークの環境さえ整っていれば、低コストでどこでも利用できるという点が一番のメリットです。高性能なシステムを迅速に導入でき、不測の事態に陥ってもサポートを受けることができます。一方で情報を一度外部に持ち出すことになるので、漏洩を防ぐためにセキュリティ対策を万全に行う必要があります。
まとめ
労働人口の減少が叫ばれる現代の日本では、いかに効率よく生産性を向上させるか、そして労働者の勤務体系を把握できるかは経営上の重要課題です。「働き方改革」をきっかけに勤怠管理の把握が一層重要視されていることは間違いなく、できるだけ早く最適なツールを導入することをおすすめします。