2017年に厚生労働省が公表した労働時間の適正な把握のためのガイドラインでは、企業に対し、「労働時間等設定改善委員会」等の活用を促しています。企業には、労働時間等設定改善委員会など労使が労働時間等に関する事項を話し合うための体制整備が努力義務とされており、適切に対応することが必要です。今回は、労働時間等設定改善委員会について解説します。
※この記事は、掲載日時点での法律情報となります。
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労働時間等設定改善委員会とは、使用者と労働者を構成員として労働時間等に関する事項を話し合い、使用者に対して意見を述べることを目的とする組織であり、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)」に定められています。
労動時間等設定改善法では、企業に対し、労動時間等設定改善委員会の設置など労働時間等の設定の改善を効果的に実施するために必要な体制整備の努力義務を課しています。また、厚生労働省が2017年1月に公表した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」でも、労働時間等設定改善委員会を活用して労働時間管理の問題点や解決策の検討を行うことを促しています。
労働時間等設定改善委員会で話し合うべき「労動時間等」には、労動時間だけでなく、休日や年次有給休暇、休憩、育児・介護休業制度、短時間勤務制度等が含まれます。企業には、労働時間等設定改善委員会等を活用することで、労働時間等について労働者の健康と生活に配慮した多様な働き方に対応したものへ改善していくことが期待されています。
労働時間等設定改善委員会の要件
労動時間等設定改善法の規定により、一定の要件に適合する労働時間等設定改善委員会には、労働基準法の適用の特例があります。要件を満たす労動時間等設定改善委員会を設置した場合、その委員の5分の4以上の多数による決議により、労働基準法に定める各労使協定に代替することができます。
労働基準法の適用の特例がある労働時間等設定改善委員会の要件
- 委員の半数が、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること
- 過半数代表者は、管理監督者以外の者で、かつ、委員会の委員を推薦する者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出された者であること
- 委員会の議事について、開催の都度議事録が作成され、3年間保存されていること
- 委員の任期、委員会の招集、定足数、議事等を内容とする委員会の運営規定が定められていること
代替できる労使協定
- 時間外・休日労働に関する労使協定(いわゆる36協定)
- 変形労働時間制に関する労使協定
- 事業場外労働に関する労使協定
- 専門業務型裁量労働制に関する労使協定
- フレックスタイム制に関する労使協定
- 年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定
このうち「変形労働時間制」「事業場外労働」「専門業務型裁量労働制」に関する事項については、労働時間等設定改善委員会での決議が行われれば、労使協定を締結した際に必要となる所轄労働基準監督署長への届出が免除されます。
なお、「時間外労働・休日労働」に関する事項については、労使協定を締結した際と同様、所轄労働基準監督署長への届出が必要です。
衛生委員会の活用
労働時間等設定改善委員会の設置が困難な場合、一定の要件を満たす衛生委員会や安全衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなすことも可能です。この場合、衛生委員会での決議が労使協定と同等の効力を持ちます。
衛生委員会での決議が労使協定と同等の効力を持つためには、先述の労働時間等設定改善委員会が満たすべき要件に加えて、以下の要件も満たすことが必要です。
- 労働時間等設定改善委員会が設置されていない事業場であること
- 事業主が、過半数労働組合または労働者の過半数を代表する者との間の書面による協定により、衛生委員会に当該事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議させ、事業主に対して意見を述べさせることを定めること
衛生委員会は、労働安全衛生法の規定に基づき、常時50名以上の労働者を使用する事業場では必ず設置しなければならないものです。労働時間等設定改善委員会を設置することが難しい場合は、衛生委員会を活用して労働時間等に関する事項について労使で審議することが望まれます。
まとめ
労働者の健康と生活に配慮した多様な働き方を実現していくためには、労働時間等設定改善委員会を活用し、使用者と労働者が労働時間等について十分に話し合うことが大切です。
ぜひ労働時間等設定改善委員会を設置して、労働時間等の適切な設定・改善に努めるようにしましょう。
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